-wackは、どういう経緯でこの土地(大阪府藤井寺市惣社)に?
2019年に京都から大学で大阪に来ました。
そもそもは2019年に柏原のキッチンもとくらしの壁に絵を描いたことがきっかけで、同店のアルバイトから、ところとの西村さんの西村興産(リノベーションを得意とする不動産業)のお手伝いを始める。
-それまでの暮らしはどうだったんですか?
半年ぐらいは学校暮らしというかw
教室の椅子を2個並べると寝れる、ということを発見したんですw
それ以降、同じことをする生徒が増えました(あかんがな)。
ある意味で学内にそういうカルチャーを作ったというか(仕掛け人)。
-マンションみどりとの出会いは?
西村さんの勧めでソーシャルアパートメントというのがよくわからないまま、初めて展示をさせてもらったんです。その中で空間とエリアに愛着が湧いてきて。西村さんの「管理人をやってくれたら好きに使ってくれればいいよ」とおっしゃっていただいたので、じゃぁやってみようかなと。
-椅子2個よりはいいかとw
-アーティスト自らが運営する、いわゆる「アーティストランアパートメント」としてマンションみどりの体制ができ始めたのは2019年からですね。
そうです。そこから入居者が出たり入ったりで、共同スペースで初めて料理をしたり、作品制作の過程を共有したりして、とても楽しかったですね。
-入居促進としてはどういうアクションを行ってきましたか?
たとえばレジテンスプランを設定しました。まずは3ヶ月間、格安で入居してもらい、その間に作品を制作してマンションみどりのギャラリースペースで発表してもらうと。で、そのまま気に入ってくれたら、通常入居に切り替えることもできるプランです。
まず住み心地を実感してもらい、なおかつ実際に作品制作もしてもらうので、制作場所としての向き不向きも同時に体験してもらえます。アーティストにとってこのお試しコースはお得だと思います。これをきっかけに西村 昂祐(@nishimu.ra.kousuke)くんが入居し始めました。
ちょうどコロナ禍の状況で学校の制作室が使えなくなったりして、制作場所を失っている学生に対する協力としての意味合いもあったんです。
マンションみどりでは、これまでにさまざまなイベントや試みが継続的に行われてきた。
2020年 10月20日(火)〜11月3日(火)
一周年記念展示『スーパースプラウト〜超⭐︎芽吹き〜』
2020 12/26.27〜
「Golden Time」〜西村昂祐滞在制作成果発表展〜
2021 3/28(日)〜4/3(土)
ART DOOR HAJINOSATO EXHIBITION #1 Veranda Shape
wack/下浦萌香/西村昂祐/岡留優
2021 6/17(木)〜6/24(木)
伊藤きく代/ヨシダクスカ「平らな白昼夢2」
2021 11/22(月)~11/28 (日)13:00~20:00/12/4(土)~1/22 (土)15:00~20:00(土日のみ開催)
櫻井正樹「抄本」
と、精力的な活動・企画が止まらない、マンションみどり。
今後もさまざまなイベントや試みが継続的に行われるという。
-今後のwackの展望を「管理人」と「アーティスト」の両面から教えていただけますか?
最近は、地域の中で美術を行うことの意義を考えるようになりました。とくにこのあたりは古墳や史跡が多いので、埴輪から古代呪術(美術の根源でもある)など、根源的なものに目が向くようになりました。
先日も、土師ノ里のイベントで住人が作ったハニワが売れたんですが、その同じ日に入居希望者があらわれたりして。そんな不思議な縁も感じられるほどになりましたw(それ呪術?w)
-ここで住居としての「マンションみどり」について聞かせてください。
今後入居を検討される方に、マンションみどりの良いところを教えてあげてください。
まずは、周りを気にせず制作に専念できることですね。あらかじめ住人に理解が得られているところが大きいと思います。アーティスト同士、制作過程も生活の中に垣間見えるので、常に刺激があって新たなアイデアが生まれたりモチベーションが保たれるところも、他の集合住宅では経験できないことだなと思っています。
-最後に、マンションみどり管理人としての展望を聞かせてください。
そもそもアートシーンの土壌がない場所なので、逆に好きにやれるところもありますね。今後もイベントや情報発信を続けて、土師ノ里のアートの場として育んでいきたいです。
マンションみどりが地域に位置する意味を考えた時に、中身はもちろん外観も含めて、ご近所さんや地域にひらかれたアートスポットにしたいですね。まだまだ顔を知らないご近所さんも多いので。制作だけにこだわらずに、アクションや地域プロジェクトも含めて表現していきたいです。
-ありがとうございました。
マンション「管理人」の「展望」を聞く機会はなかなかない。
大和川ほとりの、アーティストランアパートメントは地域のホットスポットとしてさらに変化しつつ、歪な成長を遂げるのが筆者の楽しみでもある。
もっとおかしなことになっていくことを密かに期待している。