POSTS

MONZENの2階に広がる、wackの世界観

2022.01.22

古民家の天井に空を描くとは?


MONZENの2階シェアスペースには、天井一面に青空のようなペイントが描かれている。 土師ノ里のアーティストランアパートメント「マンションみどり」運営管理人でもある作家、wackによる作品である。

MONZENはいわゆる古民家の建築様式で、二階というよりは屋根裏を物置や住居に使っていた(厨子二階とも呼ばれる)ため、天井が低い。

「今後シェアスペースとしても使われる現代の厨子二階として、天井が低いイメージを解消し、居心地の良い空間を描けたら」、とwackは言う。

空は、そもそもwackの作品モチーフのひとつでもあり、その多様で繊細なブルースケールの重なりによって、眼前の平面と永遠の奥行きという距離感の曖昧さを見るものに感じさせる。言い換えると、「距離感がバグる快感」が、空にはあるのだ。

「距離感を消す」、「天井の存在感を消す」と本人が語る通り、wackの空というモチーフと、MONZENの二階スペースのイメージが合致し、「描く作業というより、むしろ消す作業であると気づいた」時に制作の目的がはっきり見えた、という。

ブルーラインの重なりに、MONZENのにぎわいを繋いでいく

この作品にはもうひとつ特徴があり、一面に描かれたブルーは何本ものライン(path)によって構成されている。それが空ともうひとつの意味、path=往来、なのである。

MONZENの立地は文字通り道明寺天満宮の門前であり、古くから多くの参拝客で通りがにぎわい、京都から高野山を結ぶ東高野街道はいうまでもなく交通の幹線でもあった。

天井にペイントされた多層なブルーのラインの重なりは、この地に無数に交錯してきた人々の足どりであり、営みの軌跡でもある。wackは、「たとえばここに重ねて、いろんな人に線を描いてもらい、その線がここMONZENに収束するような。そんなペイントのワークショップを行ってもいいかなと思っています。」とのこと。

この作品は、まだ未完なのだ。現状はあくまでもMONZENの「イマココ」であり、今後もこの地にさまざまな人の交わりがあり、ヒトやモノが行き交う場所としてにぎわいが増すにつれて、ブルーラインが重層に描き足され、作品の奥行きもさらに深まるだろうか、と期待させる空間となっている。

MONZENを訪れた際は、ぜひご覧いただきたい。

●wack
1998年京都府生まれ。作家。
大阪藤井寺市のアーティストランアパートメント「マンションみどり」に住みながら管理、展示企画をしている。
現在、空と絵画の平面性を重ねた制作をしている。
→マンションみどり

RELATED POSTS

2024.03.15
地元の新鮮野菜を使った料理を味わう おいしいローカル「おいしいテラス」開催!
今回のおいしいテラスでは「おいしいローカル」プロジェクトの連携事業者や近郊農家の食材を使い、「MEARO」が調理したお料理を召し上がっていただきます。 当日は会場のMONZENにて野菜の販売もあります。生産者や連携事業者の方々との交流の機会となります。
2024.03.03
「どこやねん! フジイデラ?」イナズマキャスト 井上陽介さん
フジイデラの魅力に惹かれてフジイデラに移住してきた人、たまたまフジイデラに移住してフジイデラの魅力に気づいた人、そんな人たちもフジイデラに新しい風をもたらしています。地域にフォーカスしたポッドキャスト「イナズマキャスト」を運営し、自身も移住者である井上さんの「どこやねん!フジイデラ?」を映像でお届けします。
2024.03.03
「どこやねん! フジイデラ?」Yuqui-lah(ユキーラ)さん
今回ご紹介するYuqui-lahさんは河内音頭の魅力に惹かれ、藤井寺市の五月会に入門しました。盆踊りの季節はもちろん稽古のたびに地元の関東と藤井寺を往復しています。藤井寺が第2の故郷と思えるほど藤井寺を知り尽くすYuqui-lahさんの「どこやねん! フジイデラ?」を映像でお届けします。
2024.02.17
【予約完売御礼】ホシトヒカリ2 〜星を識り、光が導く〜
3月10日(日)魚座新月、大阪府藤井寺市・土師ノ里(はじのさと)アサノヤにて、「みずのか・ほしのね」のさとえみ & 「ココろハルる」のさいじょうゆかによるイベント「ホシトヒカリ2 〜星を識り、光が導く〜」を開催します。
2024.02.10
【トークイベント】おいしいローカルプロジェクト 「おいしいセッション」
「おいしいセッション」は、私たのネットワークを活かし、食の魅力につながるだけでなく、流通促進にも繋げます。生産者と消費者などが直接交流する場を提供し、地域の食材の需要拡大や新たな流通ルートの開拓につながることを目ざします。また、他地域の食材とのコラボレーションにより、新たな食の価値を生み出し、食の価値向上の機会を探ります。
2023.11.21
オープンアトリエ ガラスの倉庫 〜ハジウム旧津田ガラス〜
「土師の里」で古代から続くものづくりのDNAを活かし、遊休不動産を現代に合わせた空間へと再生させることを目指し、HAJIUM(HAJI + MUSEUM)のプロジェクトで場づくりを行います。
2023.08.13
イベントレポート:『飲み干してきたもの』 〜天野了一 空き缶コレクション 昭和から平成のジュース缶芸術と追憶〜
8/5(土)、8/6(日)に行われた、昭和末期から平成にかけて、青春を捧げて自ら飲み干し、天野了一の見事にメタボリックなお腹を形作っていった、1,000点をゆうに越える様々な内外の「缶ジュース」のコレクション展が行われました。
2023.09.19
7月12日、「おいしいローカル」のキックオフイベントが行われました。
地元の食材や文化を活かし、人々が食を通じて繋がる場を提供することで、新しい食の価値を生み出す「おいしいローカル」プロジェクト。 7月12日、藤井寺ベッカフィーコカフェ2Fにて、まなリンク協議会主催による、当プロジェクトのキックオフイベント 「おいしいセッション」が行われました。

PLACE

船橋の売土地
藤井寺市船橋町
穏やかな時間と時を超える風景を楽しむ
沢田の住宅
藤井寺市沢田4丁目
沢田の”家鉄”住宅で、鉄道を眺めながら過ごす
アサノヤ
藤井寺市林
街、⼈、夢の、結び⽬に。
里庭の箱
藤井寺市国府
あたらしく、なつかしい。
おだやかなくらしと、こだわりのいとなみ。