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料理で彩られた「ボーメのうつわ」を楽しむ1ヶ月

2021.04.24

 

ほんのりとした白、しゃきっとした黒、やさしく包み込まれるようなシルエットのうつわをつくるのは、「うつわユニット・ボーメ」。 11月17日からの1ヶ月、新作のマーブル柄を取り揃えて、Nowhere Hajinosatoに登場しました。 今回お話いただいたのは、出水みゆきさん(以降、ボーメさん)。自然体でさっぱりとした、ボーメさんについてちょこっと深堀りしてみましょう。

It's super simple ! 陶芸教室からはじまる、ボーメのうつわ

うっちー(以下、う):
まず、「ボーメのうつわ」というユニットについて、お伺いしたいと思います。

ボーメさん(以下、ボ):
京都で陶芸教室に通っていたんですね。そこで相方の上阪(こうさか)と知り合い、2006年には一緒にやろうか、ということで始まりました。
京都は、大学に始まり、結婚、子育てなんかで、30年くらいは住んでいたかなぁ…。今は大阪で暮らしているので私が「ボーメ大阪」、彼女は「ボーメ京都」として活動しています。
普段はそれぞれで作品を作り、展示で「ボーメのうつわ」として出店しています。

う:
なるほど。
そもそも、どうして作家活動に「うつわ」を選択されたのしょうか?

ボ:
使いたかったからですね。単に、自分が。

う:
シンプル…!

ボ:
はじめは陶芸がやりたくなって、自分の使いたいものをつくるために、教室へ通い出したんですよね。これが今に通じるきっかけかもしれません。

う:
教室は今も?

ボ:
教室は通いだして2年ほどでなくなってしまったので、そこから貸工房を探して、陶芸を続けました。
貸工房の場合、使う釉薬が違っても、窯は共同で使わなくてはならないんですね。釉薬ごとに温度条件が違ったり、ガスが出たりするものがあったりで、自分の作った釉薬を試すには難しい環境でした。

これはいよいよ自分だけの窯がほしいな〜となった時に、ちょうど大阪の自宅を改装するタイミングがあって、一角に小さな工房を作ってもらったんです。
手を伸ばせばアレコレ届く狭さだし、今では機嫌よく制作しています(笑)

う:
自分の城を持てるって最高ですね!

遊び心しか持たない主義

ボ:
型で作る場合、1点ものよりは同じ形のうつわが出来るのですが、今回新作として出したマーブル柄に関しては、逆に同じは面白くないなと思って、敢えて違いを楽しんでいました。
当初は裏面にするつもりで作っていっても、工程途中で「あ、面白いなぁ」と思う出方をすることもあるので、そんなときは形を反転させて表に出してみる。
意図しないものが面白いってこと、ありますよね。

う:
偶然出会う結果を「どっちがいいかなぁ〜」なんて選んでいくのも楽しみのひとつなんですね。
遊んでいるときに発想が生まれたりもすると思うのですが、作品作りにおいて遊び心というのは大事にされているんですか?

ボ:
もう、それ(遊び心)のみですね(笑)

う:
気持ちがいい回答!(笑)

ボ:
おもしろい!と思うことしかやらないです。
今回の展示ではさちこさんのお料理に触発されて、家に帰ってもお料理とうつわを存分に楽しみました。

う:
ご自身が作ったうつわにお料理を盛り付けて楽しむって、最高ですね。

ボ:
ね〜。家のご飯でも、やはりうつわ選びはこだわってしまいますね。
例えばおかずに冷奴を出す日に、主人に「うつわとって」とお願いしたら白いお皿を差し出されたことがあって。内心、(ふむむ…!それは違うやろ!)って思いつつ、そっと変えたりしました(笑)

う:
あははは(笑)
確かに私もボーメさんのうつわを使いだしてから、食事を大切にしたい気持ちが生まれました。目から楽しむことは大事ですね!

Nowhere Hajinosatoはゆっくりした時間の流れと、うつわを楽しめる場所

う:
洋服屋さんやカフェなど、異なるジャンルの場所での展示を行ってきたボーメさんですが、今回の展示期間で印象的だった点はありますか?

ボ:
藤井寺とか近鉄沿線など地元の方が、カフェを利用した帰りに買ってくださるのが多い印象だったかな。
さちこさんが私のお皿を使ってお料理を出されていたから、お皿を使うイメージも持てたのが、大きな理由じゃないかなと思います。

自分としては期間中にできるだけ在廊するようにして、買ってくれたお客さんとも話せるようにしていました。
自分の中で「良い出来だ」と思って並べたお皿を、どんな方が買ってくれたかというのは、気になるし楽しみでもあります。
さちこさんも「今日はこんな方が、このうつわを買っていかれましたよ」など話してくださるので、それを聞いて、想いを巡らせて「ありがたいなぁ」と思ってます。

う:
地元で暮らす方々と交差できる部分が、Nowhere Hajinosatoらしい、とも言えますか?

ボ:
そうですね。この辺りに土地勘はないけれど、雰囲気が落ち着いていると思いました。
食事やお茶をしながら、会話をして、ゆったりと過ごす。のんびりと過ごした帰りに、うつわを買って帰る。
そんなスローなコミュニケーションや雰囲気がNowhere Hajinosatoの持つ魅力だと思います。
滞在させていただいたときも、お客さんやさちこさんと喋っていて、そんな時間にゆとりを感じられました

う:
なんだか時間や心に余裕がありますねぇ。

「何にでもよく使う」って、最大の称賛

う:
ボーメさんにとって、“うつわの魅力”というのは何でしょうか?

ボ:
うーん…そうですね、「包容力」かな。
何を入れても、盛りやすく、使いやすい。綺麗だけど使いにくいお皿って、やっぱり棚の奥の方に仕舞いがちだと思うんですね。

う:
あー!確かに!

ボ:
「何にでもよく使う」って最大の称賛やなって思うんです。
だから自分の作るものに対しても、実際に自分が使ってみてどう感じるかを意識しています。
使いやすいと言われたら、すごく嬉しいですし、お客さんとの会話で「このお皿に、こんなものを入れたら使いやすかったよ」という話をすることもあって、お客さんとの会話にはヒントがあるんですね。

う:
「ボーメのうつわ」としてこだわっている点も、やはり「使いやすさ」になりますか?

ボ:
やっぱり自分がうつわを作り始めた頃の「自分が使いたいうつわを作る」というのを大切にしていますね。
盛りやすさ・使いやすさも“使いたいうつわ”のひとつですが、マーブル柄なんかの偶然出てくるものも自分が使いたい方を選択する、みたいな。

う:
マーブルの出方を見て一方を選択したり、土を足して微調整したり、そのときのひとつひとつの選択にボーメさんのセンスが込められているような気がします。

ボ:
私は広い意味では作家かもしれませんが、“1点しかない”というところへの関心は薄いんです。
展示するフィールドのジャンルが様々なので、その時、その場所によって、うつわの見え方まで変わります。1点ものとなると、うつわが場所を選ぶ気がするんです。

う:
うつわそのものに対してこだわるというよりは、展示ごとに、うつわの置かれる空間全体をひとつの“画”として見ているんですね。

ボ:
そうそう。展示場所も自分で選んでいますからね。自分で選んだその空間に、自分のうつわをレイアウトしてお客さんに見てもらう。その時にいかに良い雰囲気で魅せられるかどうかだと考えています。

う:
それって結構デザイン的な思考ですね。

ボ:
デザイン的思考が強いかもしれないね。
自分の中ですごく良いできの作品ができた時に、作品を手元に置いて眺めていたいというよりは、どんな方が気に入ってくれて、どんなふうに使ってもらえるのかを考えるのが楽しみです。
またNowhere Hajinosatoでも展示をやりたいですし、次にどんな場所で、どんな空間として仕上げられるのか、そんなことをいつも考えています。

 

【話したひと】
ボーメのうつわ(Facebookページ/Instagram)
うつわ作家:出水みゆき

出水みゆき・上阪道子によるユニット。陶磁器のテーブルウエアを制作・出展・販売している。タタラ成形とオリジナルの釉薬で、シンプルな使いやすさを目指す。

[うつわ ボーメ Facebook][うつわ ボーメ Instagram]

Nowhere Hajinosato
大阪府藤井寺市国府1-1-7

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